割烹いがらし蛤の雨水レシピ「春キャベツの共地餡かけ」

2021-03-02

割烹いがらし蛤の雨水レシピ「春キャベツの共地餡かけ」

春の兆しを食卓へ。蛤の旨みをやわらかな春キャベツとともに。

三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいていくこの時季。

店先に蛤が並び始めます。家庭料理で多いのはお吸い物や酒蒸しでしょうか。

割烹いがらしの五十嵐正記さんに教えていただいた「蛤と春キャベツの共地餡かけ」は、蛤の豊かな風味が凝縮された献立です。

やわらかく甘みのある春キャベツと合わせることで、蛤の旨みが存分に堪能できます。

春キャベツは巻きがふわっとしてみずみずしく、シャキシャキとした軽快な食感も春らしい食材。

炒めものやサラダだけでなく、和食にも大いに活用して、その繊細な持ち味を楽しみたいですね。

共地餡とは、材料を煮た「煮汁」を使ってとろみをつけ、その煮物にかける「餡」のこと。

五十嵐さんの「作り方はほんまに簡単ですよ」の言葉通り、一つの鍋で順に煮ていくだけで、食卓に春を呼ぶ素敵な一品ができあがります。

■材料(2人分)

蛤 …………………………4個

春キャベツ………………1/8個

菜の花 ……………………4本

鰹出汁 ……………………300cc

うす口醤油 …………………少々

みりん  …………………少々

吉野葛(または片栗粉)…適量

太白胡麻油………………少さじ1

■作り方

①キャベツと菜の花を準備

キャベツを食べやすい大きさに切る。

芯の部分は繊維に垂直に薄切りにすると、火が通りやすく食べやすい。

キャベツの大きさにより分量は加減する。

鍋に湯を沸かし、菜の花をさっと茹でておく。

②蛤に火を通す

蛤と出汁を鍋に入れて、火にかける。

蛤の口が開いたら取り出して、貝から身をはずしておく。

③キャベツを炊く

蛤を取り出した出汁に、先にキャベツの芯を入れる。

少し炊いて柔らかくなったら、葉の方を入れてさっと炊き、取り出しておく。

④出汁にとろみを付ける

出汁に出ている蛤の塩味を確かめる。

薄ければうす口醤油、みりんで味を調える。

吉野葛(または片栗粉)を水に溶いたものを入れてとろみを付ける。

ダマになるのが心配な場合は、沸騰する前に入れるとよい。

その後沸騰させてしっかり火を通す。

太白胡麻油を入れる。

⑤盛り付け

器にキャベツ、蛤、菜の花を盛り付ける。

上から共地餡をかける。

木の芽があれば添えるのもよい。

ひと口いただいて、まず印象的だったのが蛤の旨みの濃さです。

出汁を調える際に、「蛤の塩味を確かめて薄ければうす口醤油、みりんで味を調える」としていますが、この日はいずれも加えていませんでした。

鰹出汁と食材だけでこの深み、満足感。

「素材の持ち味を生かすとはこのことなんだなぁ」とあらためて実感するとともに、安易に調味料を入れていることを反省した次第です。

仕上げの太白胡麻油は、焙煎胡麻油とちがい生の胡麻を絞っているため、強い香りはなく胡麻本来の旨みがほのかに感じられる油です。

五十嵐さんによると、「油分が入ることでコクや厚みが出て、全体をまとめてくれます」とのこと。存在感はなくとも、しっかり役割を担っているというわけです。

手順のポイントとして感じたことは、菜の花、蛤、キャベツと一種類ずつ火を通して鍋から取り出しておくこと。

プロの料理人の方にとっては当たり前のことかもしれないのですが、家庭でもこの手順を踏むことが、火を通し過ぎないだけでなく、落ち着いて失敗なくできる近道になるのではと感じました。

割烹いがらし 若主人 五十嵐正記さん

祇園で生まれ、「割烹いがらし」を1979年に創業した父の背中を見て育つ。自然と料理の道を志し、大阪の日本料理店「つる家」、神奈川の茶懐石「りほう」を経て、28歳で「割烹いがらし」へ。お座敷で京会席が楽しめるのはもちろん、一品料理の充実ぶりにも定評がある。お客さまと料理人が会話を交わす中で、「その日準備されている旬の食材をどう食べるか」を決めていくカウンター割烹。創業以来、受け継いできた文化をソムリエの姉とともに、大切に守り伝えている。




店舗情報

店名
割烹いがらし
電話番号
075-525-1734
住所
京都市東山区祇園町南側570-125
営業時間
昼 12:00~13:30 (L.O.)
※前日までに要予約

夜 17:00~21:00 (L.O.)
定休日
日曜日